阿部智子展

ABE Tomoko

2017.3.13(mon) - 3.18(sat) ギャラリーなつか
「聯/断 triage L4」油絵、アクリル、サンカラー、binder、ペン、糸、綿、木製パネル 194×194cm 2017

「会場風景」

「聯/断 triage L6」「聯/断 triage L7」油絵、アクリル、サンカラー、binder、ペン、綿、木製パネル 2017

「聯/断 triage L6」「聯/断 triage L7」
油絵、アクリル、サンカラー、binder、ペン、綿、木製パネル 
2017

≪中空のとまり≫

 みえるものとみえないもの、またはみえることとみること・・時間軸と空間軸はこれらの狭間で虹のように分解され、歪曲し、分裂を繰り返す。この重畳する時間と空間の間隙を縫って、作品は現出する。
 モチーフは自分の子ども達と人形である。子どもたちと人形は、画上で逢着する。
 人形は戦時中に焼夷弾を受け焼け出され、曽祖父の幾太郎から手当てを受けている。物資の少なかった時代に、敢えて施された手当てである。長男を戦争で失った幾太郎の手当ては、時代への手当てであり、次世代へのメッセージである。
 重畳する時間と空間の狭間で中空に現れては消える像は、薄く長い布に掬い取られる。布には絞り染めが施され、アウラが取り戻される。メディアとメディウムは互いに絡み合い拮抗する。メディウムの不透明性の先に感性世界の場が現出し、その場はいつしか「中空のとまり」(泊=行き着くところ)となる。
或いは繋げ(聯)/或いは断ち(断)、選別(triage )を繰り返す。

開催記録