植物図鑑-言ノ葉-

此岸と彼岸、はざまの世界に存在する見えない言葉と記憶。

地層のように積み重ねられてきたそのかすかな痕跡の集まりこそが、この世界の解釈に繋がっているのだろう。解読できない文字と暗号、忘れられた記録と記憶。植物の形態をそれらに見立ててこの世界の再設計図を表すことを試みる。我々自身もそれらの情報を遺伝子に刻み込まれた身体的書物と言っていい。

森の匂いは様々だ。土の匂い、木の匂い、草花の匂い、獣の匂い。季節や天候によっても匂いの種類は変わってくる。芽吹き、雨、夏の生い茂る植物や虫達、枯れ葉、冷気、雪、そんな匂いが木々の間を吹きわたる風に乗って混じり合って流れている。 そんな匂いに包まれて作品を作っている。